沖縄県名護市瀬嵩(せだけ)の展望台から見る辺野古の海は、沖縄と国の関係の縮図のようだ。ブイで区切られた海を反対派の船が横切り、海上保安庁の船が追いかける

 それにしても、何と美しいエメラルドグリーンの海か。そこに落ちる基地問題の影。思わず「美(ちゅ)ら海」と沖縄の人たちの言葉をつぶやけば、心の中を風が吹き抜けた

 沖縄を訪問した6月、記者会見で翁長雄志(おながたけし)知事に尋ねた。論点は、前知事による辺野古の埋め立て承認を取り消すよう、有識者委員会が翁長知事に提言しなかった場合の対応だ。知事は「国の公益より沖縄県の公益が大きければ、『撤回』できる」と二の矢に触れた。決意は固いと感じた

 「沖縄で行われていることは、私たちからすると自由、平等、人権、民主主義と程遠い」と知事は述べ、銃剣とブルドーザーによる土地の強制接収に言及。米軍普天間飛行場について「自ら奪っておいて、世界一危険になったから、お前たちのところから(基地を)出せ、それが嫌なら代替案を出せというのは、日本の政治の在り方としてどうなのか」と憤った

 だが、政府は知事の承認取り消しの効力停止を受け、本体工事に着手した。もちろん、普天間飛行場は放置できないし、日米安保条約も大切だ。しかし、沖縄は強権発動に徹底抗戦するだろう。知事の三の矢、四の矢は。