かつて「舶来品」といえば、紅毛碧眼(こうもうへきがん)の異人さんらが作った高級品のイメージが強かった。バッグ、万年筆、車、洋服地、ライター、時計、カメラ…。「ハクライのいい品ですよ」と薦められれば、まず「高い」と思って腰を引くのが常だった

 でも、今は違うと胸を張れる。家電製品は言うに及ばず、カメラも時計も車も、世界に誇る日本の輸出品である。訪日外国人たちにも人気の的だ

 それなのに、悲しいかな旅客機は舶来品しかない。2006年に、国産のプロペラ機YS11が定期旅客輸送から引退して以来、日本の空には一抹の寂しさが漂う

 半世紀ぶりに、三菱航空機が開発したのが国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」。飛んで当たり前の飛行機の初飛行が大ニュースになるのだから、その期待の大きさたるや

 日本の英知と技術を結集したMRJは機体がスリムで空気抵抗が少なく、騒音も抑えた。座席幅は同クラスで最大だ。国内外から400機余りの注文がある。開発で磨いた最新技術は国内製造業の浮揚にも役立ちそうだ

 「to be to be ten made to be」。さて、その訳文は? “舶来文”と捉えずに日本語読みで。もちろん、「飛べ飛べ天まで飛べ」ですよ。飛べ、MRJ、日本の希望と日の丸製造業の底力も運ぶ「世界の翼」になれ。