急死した俳優阿藤快さんも出演していた連続ドラマ「下町ロケット」(MBSテレビ)が好調のようだ。ベストセラー作家池井戸潤さんの原作に、「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」の制作陣とあれば、まずは順当と言えるのだろう
 
 大企業や銀行の不当な仕打ち。夢や情熱を力に、壁を乗り越えていく町工場の面々。まさに王道を行く展開で、過剰な演技も、この作品ならぐっとくる。何せ語るのは、夢や情熱だもの
 
 例えば、こんなせりふがある。<いい年して夢みたいなことを言うなって、笑われたよ。だがな、いい年したおっさんが夢見て何が悪い。町工場が夢見て何が悪いんだ>
 
 だがな、現実には、そんなにうまくはいくまいよ、と思いつつ、いいや、ちょっと待て、俺たちにだってできるかも…。「失敗があるから、今がある」と熱く生きる人々を、懸命に応援している自分がいる
 
 <技術が人を支える。人間社会を豊かにする。人を幸せにする。これこそが技術の本当の力だ。金のことしか考えられなくなったら、技術の進歩はない>。この国をつくったのは、ドラマを地で行くような人々だったのだろう
 
 マンション工事でのデータ改ざんなど企業の不正が次々明らかになっている。ものづくり大国に揺らぎが見える。「夢や情熱を取り戻せ」。主人公たちが叫んでいる。