喪中を告げるはがきが、ぽつりぽつりと舞い込むようになったと思えば、季節は一気に冬である。県都はきのう、終日冷たい風にさらされた

 県内8観測地点全てで今季一番の冷え込みになったそうだ。剣山からは初雪、初冠雪の便りが届いた。昨年より2週間ほど遅いというから、今年の冬の精は悠然とご到来のようである。紅葉見物でにぎわった山もそろそろ長い眠りに就く

 <雪のふる夜はたのしいペチカ。/ペチカ燃えろよ、お話しましょ。/むかしむかしよ、/燃えろよ、ペチカ>(北原白秋「ペチカ」)

 ペチカはロシアの暖炉。ロシアも何も、暖炉がある家は少なかろう。ここは暖かさや温かさの比喩として解釈したい。外の寒さは、内のぬくもりを感じるための大道具。人恋しくなるころでもある。こよいは誰かと、こよいは家族と「お話しましょ」

 薄墨のはがきを眺めて、しばし感慨にふけった。あいつも母親を亡くしたか、恩師が逝ったのはまだ春先だったか…。年賀状で子どもの写真を交換したのは、ついこの前のことのようなのに、親しい人たちを送る、いつの間にやら、互いにそんな年齢になった

 銀幕のスターに大横綱、政治家に経済人も。一人去って、二人去る。時は駆け足で過ぎていくもの。だから、今を大事にしよう。はや、今年も師走がそこまで来ている。