人類誕生前、少なくとも5回の大量絶滅が起きたとされる。最も知られているのが、白亜紀末の恐竜の絶滅だろう

 原因をめぐって論争が繰り返されてきたが、”犯人”はメキシコ・ユカタン半島に衝突した直径10キロの隕石(いんせき)とする説が最有力となっている。衝突で巻き上げられた大量のちりなどで太陽光が遮られ、環境が激変したという

 恐竜の絶滅から6500万年。数えて6回目となる次の大量絶滅が現在、既に進行しているとみる研究者もいる。近世以降に滅びた種、近い将来に滅びる恐れのある種の多さを考えれば、懸念はもっともだ。今回の犯人は捜すまでもない。人類である

 地球温暖化対策の新たなルールを決める国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)がパリで始まった。温暖化を引き起こす二酸化炭素は厄介なことに、大気中にたまっていく。次の世代のためにも思い切った対策が必要だ

 地震学者の尾池和夫京都造形芸術大学長が、強烈な皮肉を書いている。地球史の単位でみれば、気温は低下傾向にある。人類が石油や石炭を使い切り、さらに温暖化しても、地球は自分で冷めるのだという。ただし、それには途方もない時間がかかる

 <そのころには人間は疾(と)うに絶滅して、次の石油の原料となっているかもしれません>(「四季の地球科学」岩波新書)。