どちらも飼った上で当方は断然、猫派である。自由で気まま、日なたぼっこの姿など見れば、幸せになる方法を生まれながら身に付けているよう…いや、もうよそう。犬派の、あるいはどちらも嫌いな人の機嫌を損ねる。第一、話が長くなる

 徳島市のあわぎんホールで開かれている動物写真家岩合光昭さんの作品展「ねこ いぬ」(27日まで)をのぞいた。ここぞといった場面を逃さないのは、さすが第一人者。日本犬から始まるが、猫派も心移りがしそうなほど、いい表情が並ぶ

 カメラがとらえた猫の百態を眺めていて気がついた。世界の国々と日本。人の住む所にはあらかた、寄り添うように犬や猫がいる。考えてみれば不思議だ。そんな動物、他にいない

 キプロスで9500年前、人とともに葬られた猫がいる。ドイツでは1万4千年前の遺跡から、人と犬が一緒に埋葬された墓が出土した(いずれも日経サイエンス編集部編「犬と猫のサイエンス」)。犬猫は人類の最古の友人といえるのだろう

 不安げな黒犬の写真に目がとまった。米ロサンゼルス、里親募集中と説明にあった。首尾よく見つかっていればいいのだが

 徳島県内で殺処分される犬猫はこの10年でかなり減った。それでも2014年度は1600匹。全国では約13万匹(13年度)に上る。人間はつくづく残酷である。