日本列島周辺の海岸線は太古より大きく変化してきた。150万年前の想定図では、日本は大陸と地続きで、かなり小さな日本海は陸地に囲まれた湖のように見える。約1、2万年前、地球温暖化に伴い、世界的に海面が上昇し、日本は島国となった
昔の地形のままなら、瀬戸内海も四国もない。今、私たちを四国の住民にした温暖化と海面上昇に拍車が掛かり、未来を脅かす。温室効果ガス排出が要因で、いわば自業自得だが、地球環境の変化は人知を超えている
江戸時代には、浅間山の大噴火による降灰や東北地方の冷害などで、天明の大飢(き)饉(きん)が起きた。餓死者は仙台藩だけでも30万人といわれる
1993年、日本は冷夏の影響でコメが歴史的な凶作に見舞われ、タイ米などを緊急輸入した。飽食の時代だからか、「タイ米はおいしくない」という失礼極まりない言葉が今も耳に残る
人間が気候変動をコントロールできると思うのは不遜かもしれないが、今は各国がエゴを捨てて結束すべき時だ。パリでは、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議の論議が進んでいる。温室ガス削減の新たな国際的枠組み作りが急務だ
2100年の海岸線の内側には、東京も上海もニューヨークも健在であってほしい。その時、予期せぬ寒冷化が起きれば、また英知を結集すればいいではないか。