師走も半ば、これから半月ほどは忘年会やクリスマス、正月と慌ただしい日々が続く。その準備や雑務の山を前に、まず、体の疲労の解消をと薬局をのぞいた。目に留まったのが、おきゅうである
きゅうは、体のツボに置いたもぐさを焼き、熱の刺激で病気を治す漢方の療法だ。もぐさはヨモギの葉を乾かしてもんだもの
最近は「おきゅう女子」の言葉が生まれるなど静かなブームで、ビギナー向けの商品も並んでいた。筒状のもぐさに台座が付いた品を買って試すと、もぐさが直接肌に触れないため、じんわりと熱が伝わり、取り除いた後も温かさがしばらく続く。定期的に行うと、体のバランスを整えることができるという
本格的なきゅうは、熱さに耐えるというイメージだ。そのため「おきゅうを据える」という慣用句には「しかる・こらしめる」との意味がある。だが、効果に目もくれず、熱さだけを取り上げるのには抵抗もある。その意味で、今使われるのは「大目玉」や「雷」か
今年「大目玉を食らった」のはと振り返る。政治とカネに絡んだセンセイ、うそをついたメーカーと、枚挙にいとまがない。同じようなことが、手を替え、品を替えて繰り返される
どこかに、大目玉を食らわない正しい振る舞いができるようになるツボはないか。そこにきゅうを据えられれば…。