童話の舞台裏をのぞけば、虫歯に苦しむ「プーさん」がいたりして。1934年にロンドン動物園で死んだモデルの雌グマ「ウィニー」は晩年、ほとんど歯の無い状態だったらしい。来園者から蜂蜜や甘い物を与えられた結果だという

 所変わってイスラエル。ネタニヤフ首相の愛犬が国会議員らにかみつき、法に基づいて10日間の隔離となった。愛犬とのしばしの別れに首相は「常識と思いやりに欠ける措置だ」と怒り、法改正を主張しているそうだ

 いやまあ、かわいがるにも程がある。比べて宮沢賢治の不思議な作品「茨海(ばらうみ)小学校」に登場するキツネ学校の教育方針は割に硬派である

 担任は説く。<最高の偽(うそ)は正直なり>。うそは必ず露見する。ばれてはいけない、と考え抜いて、うそに工夫を重ねるほど本当に近づき、とどのつまりは本当になってしまう。なら最初からうそをつくな

 不正会計やデータ改ざん…と、さまざまなうそが表沙汰になった今年。いや今年も。自分をかわいがるのは大概にしてもらいたい。過激派組織「イスラム国」の妄想も、うその一つに数えていいだろう。パリのテロから1カ月

 茨海の授業に戻ろう。<たとえすぐにはいけないことになったようでも、結局は、結局は、いいことになる>。キツネ界には「正直は最良の方便」といった格言もあったとさ。