欅坂46のデビュー3周年を記念したライブ「欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE(アニラ)」が4月4~6日の3日間、大阪市のフェスティバルホールで開かれました。記者は最終日に現地で観賞しましたが、センター平手友梨奈さんをはじめとしたメンバーが公演中に笑顔を見せる回数が以前より増え、観客も笑顔になれる場面が多くありました。「激しい」「クール」「笑わない」といった一時期の「呪縛」から解き放たれ、新たな「欅坂らしさ」を見せようという転換点になる公演でした。

 2016年4月6日に「サイレントマジョリティー」でメジャーデビューした欅坂46。「物言わぬ多数派になるな」と訴える「サイマジョ」はインパクト絶大でしたが、続く「世界には愛しかない」「二人セゾン」は恋愛がテーマで笑顔のパフォーマンスが印象的な楽曲で、決して「笑わない」グループではありませんでした。カップリングも「手を繋いで帰ろうか」に代表される、かわいらしい楽曲が多く収録されています。

 しかし、4枚目シングル「不協和音」以降は、「サイマジョ」と共通する「自分の意思を貫くことの大切さ」「理解がない大人社会への反抗」というメッセージ性が色濃くなりました。グループ関係者がそこに「欅坂46らしさ」を見いだしていたのでしょう。世界的ダンサーTAKAHIROさん振り付けによる唯一無二のダンスパフォーマンスがグループの代名詞として認知されるにつれ、「笑わない」イメージが広がっていきました。

 これは同時に、絶対的センター平手さんへの負担集中につながりました。直接的な関連は不明ですが、平手さんが「負傷」を理由にたびたび休業。平手さんが休むとファンから「てち(平手さんの愛称)がいないと…」などと物足りなさを指摘する声が上がり、メンバーからは「平手に頼らないパフォーマンスをしたい」という声が出ていました。

 シングルには毎回、表題曲とはテイストの異なるかわいらしいソロ曲やユニット曲も依然として収録されていましたが、メンバーの休業や卒業が相次ぎ、コンサートでもなかなか披露できないという問題にも直面していました。こうした状況がさらに、全体曲でセンターを務める平手さんへの負担集中につながっていたことは否めないでしょう。

 こうした中で開かれた今回のアニラですが、セットリストからは平手さんの負担軽減を図ろうという明確な意図が見て取れました。平手さんが舞台から転落してニュースになった昨年夏の全国ツアー幕張公演ファイナルでは、全20曲中18曲に平手さんが参加する「出ずっぱり」状態でしたが、今回は20曲中、平手さんの出演は14曲。合間にはユニット曲が配置され、MCも長めに取られていたため休憩が十分取れたはずです。

 それでも、決してパフォーマンスに物足りなさを感じることはありませんでした。むしろ、表題曲を中心に全力の歌とダンスを披露できるようになったことで、観客の満足度はより高まっていたように思います。これはあくまでも記者の推測ですが、平手さん自身もひたすら全力で踊っていた初期のダンスから、しなやかさを取り入れて緩急を重視したより表現力の高いダンスへと、質的転換を模索している段階なのではないでしょうか。

 卒業メンバーの参加楽曲にも動きがありました。今泉佑唯さんの卒業で活動が危ぶまれていた小林由依さんとのユニット「ゆいちゃんず」の楽曲は、小林さんがソロで披露。志田愛佳さんが卒業して4人になったユニット「青空とMARRY」のメンバーからは「またユニット曲を歌いたい」という趣旨の発言があり、活動再開への布石とも取れました。こうしてユニット曲が「解凍」されていけば、公演の幅はさらに広がるはずです。

 卒業・休業メンバーの代わりに、2期生が全体曲に参加したのも大きな収穫といえるでしょう。アニラの直前に参加を告げられ短期間で特訓したそうですが、欅坂46の「魂」が確実に継承されていることを印象付ける高いレベルのダンスが、卒業・休業メンバーとはまた異なる新たな息吹をパフォーマンスに吹き込んでいました。今後はユニット曲に参加したり、2期生だけの楽曲が作られたりして、活躍の場はさらに広がるでしょう。

 欅坂46のアンダーと位置付けられ、クール路線を突き進む欅坂46の代わりにハッピーな楽曲を担ってきたけやき坂46が3月に日向坂46に改名して独立し、ファンの間では欅坂46の多様性が損なわれることを危ぶむ声もありました。しかし、今回のアニラで示された一つの答えは「クールもハッピーも両方あっていい」という、原点への回帰でした。このことは、表現の幅を広げ、安定したパフォーマンスを続ける上でも重要です。

 アニラの最後にキャプテン菅井友香さんは、メンバーも観客も笑顔になれる公演を目指して臨んでいたことを明かした上で、関係者全員が幸せになれるグループにしたいと決意表明しました。その言葉からは、平手さんだけに負担を押し付けず、喜びも痛みもメンバー全員で共有してより高みを目指したいという強い決意が感じ取れました。「欅坂46らしさ」を模索して悩み続けた結果、笑顔という武器を取り戻し、結束をより強めた欅坂46。4年目の1年は、これまで以上に大きな成長を見せてくれそうです。(R)