木々の色彩が乏しいこの時季、目を楽しませてくれるのは、ツバキだろうか。深緑の葉の間から赤い花がのぞく。厳しい冬に耐えて咲く姿は凜(りん)とした美しさがある

 漢字で書くと「椿」で春の季語。だが、昨年末から咲いており、「春の訪れを告げる花」としては梅のほうがしっくりくる

 通勤の道すがら眺めていた梅は、つぼみが日ごとに大きくなり、その先に紅が差し始めていた。開花まであと少しと心待ちにしていたら、徳島市の徳島中央公園で白梅がほころんだ。暖冬の影響で2週間も早く。花弁を精いっぱいに広げる姿が愛らしく、心が和む

 学問の神様、菅原道真公を祭る福岡の太宰府天満宮でもきのう、例年より早く開花した。思い起こすのは道真公の歌<東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな>である。都に残してきた梅に向けて「私がいなくても春を忘れないで」と詠んだ

 神様にも助けてもらいたいと思いながら「春」を目指すのは受験生だろう。きのう、県内の中高一貫校など4校の入試が行われた。今週末には大学入試センター試験もある。これから2カ月は蓄えた力を発揮する受験シーズンである

 受験生それぞれに思い描く春があるはず。北風が東風に変わるころには、きっと心に花が咲くと信じて、あと少し頑張ろう。梅の花言葉は「忍耐」である。