相撲は神事。15日間、土俵には神が降臨しているという。場所前日、土俵を清めて、神を呼ぶ儀式が「土俵祭り」である。相撲協会の幹部らが土俵の下に座り、安全を祈願する
 
 もともと神主が祭主になって執行していたが、江戸末期から行司が代行するようになった、と33代木村庄之助さんの「力士の世界」(角川ソフィア文庫)で教わった
 
 「祭り」で読み上げられる祝詞は簡にして要を得た表現で相撲の魅力を伝える。<相撲(すまい)の道はしも敏(さと)き心に術を尽(つく)して/猛(たけ)き心に力を競(くら)べて勝負(かちまけ)を争い/人の心を勇ましむる吾邦(わがくに)固有の国技(くにぶり)なれば>
 
 国技にして、長い空白だった。日本出身力士としては10年ぶりの賜杯を手にした大関琴奨菊。31歳の苦労人、悲願の初優勝でもある
 
 得意の「がぶり寄り」がさえた今場所、初日から快進撃が続いた。圧巻は10日目から。鶴竜、白鵬、日馬富士のモンゴル出身横綱を次々撃破したのは見事。日本人は外国人はと、ことさら強調したくはないが、大関の故郷福岡にも雪が降った最終日、菊花開くよう祈りながらテレビにかじりついたのは、筆者だけでもあるまい
 
 押されっぱなしの日本勢。反撃ののろしとなるか。「祭り」での言上にある。<勝負の道理は、天地自然の理(ことわり)にして、これなすもの人なり>。相撲の神の期待に応えるには、鍛錬あるのみか