罠(わな)の部首は「あみがしら」。目を寝かせたような形で「よこめ」ともいう。あまりいい印象の字がない部首である。罪と罰、罵声の罵。やめる意の罷も
甘利明氏が、金銭授受問題の責任を取って経済再生担当相を辞任した。「政治家としての矜持(きょうじ)に鑑み、閣僚の職を辞することを決断した」。会見は潔くもあったが、少し引いて見れば、辞めざるを得ないのは明白だった
疑惑を報じた週刊文春の記事は微に入り細をうがつ。職にとどまれば傷口が広がり、それだけ再起も遠のこう。少なくとも監督責任は免れない
いわくありげな告発者の罠にはまったと、かばう声もあるが、だとしても網にかかる方が悪い。大臣室で菓子折りと一緒にのし袋を受け取るなど、まるで色あせた映画のよう。不徳の結果と言うほかない
環太平洋連携協定(TPP)で各国の利害を調整し、大筋合意を実現させたタフネゴシエーター(手ごわい交渉者)。この人ですら「政治とカネ」の問題でつまずくものか。安倍政権4人目の閣僚辞職となる。二度と疑惑を招かないために、企業団体献金の禁止を含め、やるべきことがあるのではないか
天網恢々(てんもうかいかい)。とはいえ、日本経済にとっても時期は悪い。日銀は非常の措置といえる初のマイナス金利を導入する。新船頭の手腕もいまだ知れず、先行きはしばし不透明だ。