そもそも一極集中を是正しようとする試みである。難しい。それは最初から分かりきったこと。困難な課題をどう乗り越えていくのか。その手法を編み出すのが、霞が関に集う日本の頭脳の役割だろう。できない理由ばかりを探していて、行政が前に進むものか

 消費者庁の徳島移転協議で、あらためて官僚側の強い反発が浮き彫りになった。協議の実に半分の時間が、「抵抗」に費やされたという

 「徳島に移転すれば機能が低下する」との懸念はもっともである。でもその懸念、実際どれほど当たっているか。内閣府消費者委員会の会合で、徳島移転に向けたテレビ会議システムの試験があり、「今の段階では無理」との意見が出たそうだ。「よく聞き取れなかった」らしい

 それなら比較的簡単に克服できよう。要するに機器の問題である。民間では可能なのに、官庁では不可能とされる。数ある弁解の中に、似た話が多数紛れ込んではいないか

 担当大臣がせっかく盛り上げてくれた移転話である。もはやゼロ回答とはいくまいとの思いはあるが、いずれにしても検証試験を続ける中で、説得力のある答えを聞かせていただきたい

 折あしく、再び鳴門わかめの産地偽装が判明した。本県としても「消費者行政先進地」の看板を、しっかりと洗い直さねば。消費者庁にふさわしい県として。