「神は人間に一つの舌と二つの耳を与えた。だから話すことの二倍聞け」。古代ギリシャの哲人は、そう語っている。だが、米大統領選の候補者の饒舌(じょうぜつ)ぶりはどうだ

 共和党で指名を狙う実業家のトランプ氏は「日本が攻撃されたら米国はすぐに助けに行かなければならないが、その逆の義務はない。公平だと思うか」「中国や日本、メキシコから雇用を取り戻す」と強気に持論を展開する

 民主党のクリントン前国務長官は、沖縄県・尖閣諸島をめぐり「日本の施政権を一方的に害する行為に反対する」と中国をけん制した

 初戦のアイオワ州党員集会で、共和党は保守強硬派のクルーズ上院議員が、トランプ氏に勝った。民主党では、クリントン氏が、格差是正を訴える「民主社会主義者」サンダース上院議員と、大接戦を演じた。候補者の日本観、安全保障・テロ対策は多様で、にわかには見極め難い

 8年前の大統領選の最中、ワシントンの日本大使館を訪ねると、どの候補が勝っても対応できるよう、陣営に人脈を開拓してきたと館員が語っていた

 頼もしく感じたが、その後、安保問題や環太平洋連携協定をめぐるオバマ政権との交渉で、日本国民の利益は守れたのだろうか? オバマ大統領の任期は残り1年。安倍晋三首相の言う「主張する外交」の成果をしっかりと見せてほしい。