ツタの絡まる阪神甲子園球場は、高校野球の聖地。魔物がすむというグラウンドで球児たちが学ぶのは、勝負の厳しさだけではあるまい。人の道の修養につながる一筋の「野球道」があるはずだ

 まして5季連続で甲子園に出場した大阪・PL学園の主砲なら、多くを学んだはずではないか。清原和博容疑者、そう呼ぶことが残念でならない。覚せい剤取締法違反容疑とは

 1983年夏、甲子園の夏春夏3連覇を目指した池田を準決勝で破ったのが、清原容疑者を擁するPL学園だった

 プロ入り後、525本塁打を放った強打者ぶりよりも記憶に残るのは、87年の日本シリーズ、西武対巨人の第6戦。西武の一塁手だった彼は日本一まであとアウト一つに迫った場面で、感極まったのか涙を流した。その2年前には、ドラフトであこがれの巨人から指名されず涙を見せた

 2度目の涙の訳は知らない。でも一塁ベース付近の彼の背後には、少年時代から歩んできた野球道があるように見えた。その時、確かに、信じるべき彼の熱い心に触れたと思ったのだが

 それから約30年。野球で磨いた心は一体、どこをさまよったのか。警察は清原容疑者宅から注射器を押収した。甲子園を目指す球児はどう思うだろう。だが、道を誤っても、悔い改めれば、やり直せる。人生は常に道半ばだと思いたい。