スターリンがヒトラーに心酔していたと、どこかで読んで、なるほどと得心した覚えがある。独裁者は似たにおいがする。粛清に虐殺。においの元をたどれば、きっと人の血に行き着く
 
 彼らのやり口に学ぶ。そんな権力者がいる。国民の苦難を糧に肥え太るこの3代目も、その口だろう。国連決議に反して、事実上の長距離弾道ミサイルを再び発射した
 
 <てめえ、どうして俺に煮えくり返るような思い、させたいんだ>(井伏鱒二「珍品堂主人」)。核実験に続く、無軌道なやり口にあぜんとする。党大会か何か知らぬが、祝いの花火ならば、せめて骨董(こっとう)のように美しくなければならぬ
 
 発表は、あのアナウンサーだった。「完全成功」と、せりふも喜劇仕立てだが、核もミサイルも幻ではない。しかもじわりと技術を向上させている。「自存自衛」も大概にした方がいい。「瀬戸際」どころではなくなろう
 
 国連安全保障理事会に追加制裁決議案を提案している米国も、怒りを募らせている。先の大戦を思い出す石油禁輸などが含まれた草案は、経済封鎖に等しい内容である。後見役の中国も、いいかげん腰を上げないと半島の緊張は高まるばかりだ
 
 憤怒は最悪の助言者という。喜劇が簡単に悲劇へ転じる現代の舞台。拉致問題を抱えた日本、足並みをそろえつつも、冷静に渡り合いたい。