アメリカ人は機械で畑を耕す。家に帰ると人の背より大きな冷蔵庫があって、車庫には車が何台も。「ほんな話を聞かされて、うそも大概にしとけ、と怒ったんじゃ」。世間話の最中、近所のお年寄りがふいに語った高度経済成長前の記憶である
「自分の車を持てる日が来るとは考えもしなかった。なのになあ、こんな田舎でも、ほれ、トラクターに冷蔵庫、車は何台も」。話をして随分たつ。その豊かさも今、相当怪しくなってきたのだが
本家もかなり深刻らしい。候補指名争いに入った米大統領選で、当欄も含めてほとんどの報道機関が際物扱いしていたトランプ氏の疾走が止まらない。既存の政治に対する市民の怒りの度合いを、読み間違えていたようだ
極端な排外主義を唱える共和党のトランプ氏は、時代の波に乗り遅れ気味の白人労働者の心をつかんだ。対する民主党。自称「民主社会主義者」サンダース氏に勢いがある。ウォール街を敵視し、貧富の格差解消を訴えて若者の熱狂的な支持を集める
資本主義の総本山。世界の1%が残りの99%よりも多くの富を持つといわれる時代の課題を、そっくり映した大統領選である
指名争い第2戦はこの2人の「際物」が制した。さて今後、常識的には…いや、よそう。11月の投票まで波乱含み。こう言っとけば、まず間違いはない。
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