「先の戦争」といえば普通は第2次大戦だが、京都では「応仁の乱」を指す。それを最後に、戦火に遭っていないからだ-。本当かね。かつてはいざ知らず、今は話の種の一つだろう
 
 ともかく、その大乱のころである。西軍を率いる武将山名宗全が、ある公家を諭したという。幾分、眉につばを塗って読む必要はあろうが、説話集「塵塚物語」に見える
 
 乱世で諸人が苦しんでいる時に、先例先例と古い例を持ち出して聞こえのいいことばかり言ってどうなる。<およそ例といふ文字をば、向後は時といふ文字にかへて御心えあるべし>。時に合った対応こそ肝心ではないか
 
 省庁移転でも見え隠れする先例大事の官僚主義。そんなものは、まとめてごみ箱に捨ててもらって構わない。ただし、こんな心構えはそうそう変えてもらっては困る。例えば幕末・明治の政治家勝海舟は記す。<政治家の秘訣は、正心誠意の四字ばかり>。商売にも通じよう
 
 鳴門わかめの産地偽装をめぐり、元ブランド対策部会長の会社が、食品表示法違反の疑いで家宅捜索を受けた。消費者を欺き、正直な業者を踏みつけにした、その罪が問われている
 
 鳴門わかめといえば「-」。加工業者の有志が、認証制度の普及や偽装の再発防止を目指して、新たに連絡会議を発足させる。-を正心誠意の四字で埋めたい。