似た筋立ては昔話にもある。眠ってばかりのぐうたら兵衛がやにわに目覚め、村の危機を救う三年寝太郎の物語。ぐうたらにも理由があった

 逆転劇は自然の摂理といえるのかもしれない。北海道大学の研究チームの発表は、組織論としても示唆に富む。アリの集団は、働き者だけの集まりよりも、怠け者が交じっていた方が長く存続できるそうだ

 理由は単純。働き者のアリが疲れて休んだ時、怠け者とみられていたアリが代わりに働くのである。当座の生産効率は下がるが、長い目で見れば、怠け者は集団の存続に欠かせないらしい

 その通りと膝を打っても、寝太郎を気取るのは、やめておいた方が無難だ。寝太郎を許すだけの余裕が今、企業にあるか。成果成果で夜も寝られない現実は、すぐには改まるまい。短期的な業績を重視する多くの企業は、働き者が休めば、もっと安上がりな働き者に取り換えようとするのが昨今の風潮ではないか

 厚生労働省の調査では、働く人の4割が非正社員だという。企業が非正規という安全弁を手にしている限り、現実は動きはしない。一つの処方箋となるのが、安倍晋三首相も唱えている「同一労働同一賃金」だろう

 アリのエピソードを、組織の余力の話として解釈し直してみれば-。それをなくした会社や社会は、いずれ行き詰まるに違いない。