市は波乱要素を取り除け

 徳島市の阿波踊り開幕まで4カ月となった12日、主催団体の阿波おどり実行委員会が有名連などで構成する踊り3団体に開催への協力を正式に依頼した。

 ようやく、との印象である。2月に有名連への出演料引き下げなどを決めておきながら、当事者への協力依頼は随分後回しになった。この間、運営の実務を担う民間事業者の選定作業などがあったとはいえ、実行委事務局を務める市経済部は、祭りを支える踊り手にも丁寧に対応すべきだっただろう。

 今回の協力依頼で注目されたのは、昨夏に遠藤彰良市長をトップとする当時の実行委と対立した阿波おどり振興協会の対応である。朝日榮作会長宅に依頼文書を持参した実行委事務局の2人に、朝日氏は「(市長が)振興協会を足蹴にしといて『今年も阿波踊りを頼む』って、そんな虫のいいことはない」と返したという。

 振興協会側がいら立っているのは、昨年以来の市長の言動である。1月に振興協会の山田実理事長ら幹部を招いて開いた実行委では、昨夏の踊り運営の問題点を追及した山田氏に対し「去年の問題を追及しても不毛」と発言、両者の対立は一層深まった。

 山田氏は今月5日の徳島新聞のインタビューに対し、「市長が昨夏の踊りについて説明責任を果たさなければ、協会として協力態勢は築けない」と言っている。総踊りについても「市長がこれらの条件を拒めば、振興協会の連員には涙をのんでもらうこともあるかもしれない」とまで踏み込んだ。

 対する市長は9日の定例記者会見で「(今夏の踊りを)一緒になって盛り上げていただけると信じている」と述べるにとどめ、振興協会の要請に応じるか否かは明言を避けている。今後、山田氏と直接会って話をする考えもないとした。

 市側が振興協会の要請を正面から受けようとしないのは「市と振興協会の対立の構図が再びあぶりだされるのは好ましくない」(市幹部)と考えているからだ。背景には、今夏の踊りを混乱させたくないとの思いとともに、来春に控えた市長選への影響を極力回避したいとの思惑も見え隠れする。

 しかし、昨夏の踊り運営で市が前面に出ることになったのは、それまで踊りを主催してきた市観光協会を市が破産に導き、市長自ら「市が責任を持って取り組んでいく」と宣言したからである。そこで生まれた振興協会との感情のもつれを、当時の責任者として放置しておいていいはずがない。

 そうした経緯からすれば、振興協会との関係修復は市の責務である。このまま感情的対立を解消することなく、今夏の踊りに突入していくのは運営面からも極めてまずい。市長は「徳島の宝」を守るためにも、波乱要素を取り除く努力を続けるべきである。

 <2019・4・13>