<♪制服の胸のボタンを 下級生たちにねだられ>。胸がキュンとなる歌詞は斉藤由貴さんの「卒業」の一節。似たようなシーンも見られただろうか。きのう、徳島県内の全日制公立高校31校で卒業式があった

 多感な青春時代の3年間を共にした級友との別れは、無限の可能性を秘めた未来への旅立ちでもある

 かつて、北海道の大学に進学した後、消息が分からなかった友人がいた。もともと北海道の出身で、30年ぶりに高校の同窓会に顔を出した彼は何と弁護士になっていた

 高校時代は目立たなかっただけに、級友たちは法律家への変身ぶりに驚くやら喜ぶやら。長い空白を埋める卒業以来の話を聞くうち、級友たちと切磋琢磨(せっさたくま)しながら泣き笑いした徳島での高校時代が、彼の根幹を築いたことがよく分かった

 「青春時代にさまざまな愚かさを持たなかった人間は、中年になってから何の力も持たないだろう」とは、17~18世紀の英国の批評家コリンズの言葉。高校時代は人生の跳躍台だ。そして高校の友達は生涯の友。幾つになっても、互いの正体を知っているという安心感がある

 携帯電話とインターネット全盛の今、古里を離れた同級生のネットワークは強まっている。首都圏でも同窓会を開いている徳島の高校もある。仲間と積極的に参加して、古里への貢献策を探ってほしい。