米国のケネディ元大統領と旧ソ連のフルシチョフ元首相は好敵手だった。東西に分割されたベルリンなどで火花を散らした2人は、冷戦時代の名優だ

 1962年のキューバ危機では、ケネディ氏が「核時代に、世界全体に悲劇的結末をもたらす戦争に突入するような人物はいないと思う」と警告すると、フルシチョフ氏が「米国が分別を示すよう希望する」と丁々発止のやり取りも

 危機の発端はソ連のキューバへの核ミサイル搬入だった。怒った米国が海上封鎖に出て、一触即発の事態に。米国がキューバ不可侵を約束し、ソ連がミサイル基地の撤去を表明して、瀬戸際で打開した

 後にケネディ氏は「こんなことがたくさんあってはかなわない。フルシチョフ氏にしろ私にしろ、大きなミスを一つやっただけで全部吹っ飛ぶのだから」と振り返った

 だが、核危機は過去の遺物ではない。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナで親ロ派政権が倒れた一昨年2月、核使用の「準備ができていた」と話した

 米大統領選は党候補指名争いがヤマ場。民主党はクリントン前国務長官が、共和党は不動産王トランプ氏が優位を築いた。「核のボタン」を託せるのは、「偉大な米国の復活」を訴える実業家か、政治経験豊かな元ファーストレディーか。役者の真贋(しんがん)を見抜く米国民の眼力を信じたい。