過ちを正し、あるべき道へ導くのが教育というものだろう。1年のときの万引記録が、3年になって進路指導に使われるとは驚きである。学校はその間、「何も教えていない」と言っているに等しい
「あんなこともあったけど、今は頑張っているよな」。例えばそんな会話が交わせるように生徒を育てるのが教師の役割ではないか。しかし広島県のこの中学では、成長盛りの子どもでも、やり直しがきかないらしい
事実であれば、無理にでも諦められなくもない。あろうことか今回、そもそも記録にある万引をしたのは別人だったという。誤っていたのは学校の方だったのである
高校選択という人生の大事に、こんな話ってあるか。遺族は嘆く。「ずさんなデータ管理、間違った進路指導がなければ、わが子が命を絶つことは決してなかった」。ただ、「その記録は違う」となぜ言えなかったか。疑問も湧くが、まだ15歳
壊れそうな心が、ぞんざいに扱われていると感じている子がいるなら薦めたい。映画「8マイル」。米デトロイト、どん底にあえぐ主人公が問う。「いつ夢に諦めをつければいい?」。友人が返す。「まだ朝の7時半だぜ」
悩める子どもたちへ、小欄からのアドバイス。やりきれないことがあったって、何があったって生きろ。何しろ人生、まだ朝の7時半なんだぜ。