どこか甲虫のようでもある。重機の先のその機械は立木に取り付き、仕込んだチェーンソーで見る間に木を切り倒した

 倒した木を引き取るのも、また重機。次々切りそろえて積み上げる。林道を行くのは、丸太を満載した無限軌道の運搬車だ。林業は今、大変なことになっている

 きのう始まった徳島国際短編映画祭(あすまで、あわぎんホール)で、蔦哲一朗監督が県西部で撮影した「林こずえの業(わざ)」を見た。主演は今月、林業の世界に飛び込んだばかりの竹橋英里さん

 山仕事が、これほど機械化されているとは。新鮮な驚きがあった。舞台あいさつに立った竹橋さんが「少し体力をつければ、女性もできる仕事」と言うのも納得である。ところでなぜ、この世界へ。これまた説得力があった。「格好いいから」

 経済合理性を突き詰めれば、人もカネも東京に流れていくほかない。海、山、里に根付いた「格好いい」仕事も先行き不透明。この国は今、そんな構造になっている。豊かな暮らしはコンクリートの箱の中ばかりにあるわけでもないだろうに

 林こずえさんが、きょう植えた苗木は、大きくなるのに何十年かかるだろうか。そんなことを考えながらプログラムをめくった。本県が舞台の映像のほか、海外作品も満載のようだ。世界を知り、等身大の徳島を伝える映画祭になれば。