北から、南から、春の便りが届いた。お隣、小豆島の初々しい顔、震災を経験した釜石からも。甲子園で開幕した選抜高校野球。2年続けて本県からの配達人がいない、ちょっと寂しい球春である

 どうしたことか。プロ野球・巨人の賭博問題に続いて、複数の球団で試合の勝敗などに絡む選手間の現金授受が次々と明らかになっている。もはや無関係といえるチームは少数派だ

 「子どもたちの夢を壊す行為」と”公式見解“で済ますには、少なくとも高校生ぐらいになれば、それほど単純ではないだろうと思うけれど、情けない行為には違いない

 「当たり前にある日常のありがたさを胸にグラウンドに立ち、支えてくださる方々を笑顔にできるよう全身全霊でプレーします」。東日本大震災から5年の思いも織り込んだ小豆島・樋本尚也主将の宣誓を、渦中の選手諸兄は、深く胸に刻んでおいた方がよい

 同じ夢を見た誰よりも才能に恵まれ、誰よりも練習をし、ようやくつかんだ仕事じゃないか。プロなら、支えるファンを裏切ってくださるな、がっかりさせてくださるな

 <少年の声澄み渡る野球場>(近藤甲)。句の語る純な心やすがすがしさは、きっと忘れてしまっていよう。甲子園を駆ける球児の姿に、平たんでなかったはずのこれまでの道、片りんでも思い出してもらいたい。