現行の100キロにすら届かない、対面通行の自動車道しかない本県には、まず縁のない話である。警察庁が、一部の高速道で「最高速度120キロ」を認めるという

 実勢速度と規制速度のギャップを埋め、高速道の利用効果を高めるのが狙いだそうだ。100キロを守っている人が、あまりに少ないということでもあるのだろう

 規制速度の緩和につられて実勢速度も必ず上がる。140キロや150キロで飛ばす人がさらに増えると危なくて仕方ない、と思うが、取り締まりを徹底すれば安全が保たれ、事故も増えない、と警察庁の研究委員会は結論付けた

 来年以降、岩手県内の東北自動車道、静岡県内の新東名で試行し、結果を踏まえ順次、対象路線や区間を拡大する。試行だ、試験だ、と聞けば「早く移転決定を」と前のめりになる昨今。しかし、こればかりは人命がかかっている

 100キロの歴史は高速道の歴史と重なる。日本初、名神が開通したのは、前回東京五輪の前年、1963年。この半世紀余りで車の性能は向上したが、事故はなくならない

 プラス20キロ。どれほどの利点があろうか。古い標語が浮かぶ。「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」。事故の増加につながらないよう、速度規制緩和は慎重に願いたい。ついでに、危険な対面通行の解消もよろしく、と付け加えておく。