政治は帆。船は民意の風をはらんで進む。ただし、風任せでは時代の海をさまようばかりだ。だから「かじ取り」という言葉が、特段の重みを持つ

 民主、維新の合流新党「民進党」が本格的に始動した。列島は桜色に染まり始めたのに、目の前に広がるのは真冬の荒海のようである。共同通信の世論調査で、新党に「期待する」は26・1%にとどまった

 あまりに期待外れ、右往左往した民主党政権の3年を、国民がやすやすと忘れるわけはない。理念や政策は置いてけぼり。新党も看板の掛け替えにすぎない。おおかた、そう見える

 「政権交代可能な政治を実現するためのラストチャンスだ」と岡田克也代表。政権との対決姿勢を鮮明にするのはいいが、その先に広がる光景が見たい。一体、どんな社会へとかじを取るのか

 「約束の地」が確かなら、逆風もいずれ順風に転じよう。小さな期待を大きな信頼に変えるのが、政治家の力量である。野党第1党にふさわしい存在感ぐらい示せないと、政治はゆがむ

 待機児童問題で名を上げた山尾志桜里政調会長の言葉が、ヒントの一つになりそうだ。「一番切実な人は、政治から一番遠い場所にいた。そういう国民の声を聴く役割を果たしたい」。もっとも、口先だけに終われば、桜も咲くまい。自民党1強時代が、この先も続くだけである。