諸行無常、盛者必衰-。この世に変わらぬものなどなく、盛んな者も必ず衰える。はるか昔の書物が語る真理だが、いつかこんな日が来ると心配するようになったのは、思えばそれほど昔のことではない

 経営再建中のシャープが台湾の鴻海精密工業の傘下に入る。東芝は家電事業を中国企業に売却する。「日の丸」家電の衰退は目を覆うばかりだ

 安かろう悪かろうと軽んじられながら、坂を駆け上がり始めたのは半世紀ほど前。先を行く企業の慢心にも助けられ、市場を広げ業績を伸ばした

 後続走者に気づかなかったわけでもない。どうせ安かろう悪かろう。安住しているうちに、おごれる人も久しからず、今度は背中を見るはめに。同じ轍を踏んだ

 薄型テレビのシェアで、シャープは世界のトップを走っていた。それがこの10年で韓国勢に水をあけられたのは周知の通り。お家芸だった白物家電。冷蔵庫出荷数のシェアは昨年、日本の大手を合わせても6・2%にすぎず、低価格攻勢を掛ける中国、ハイアール1社の17・1%に及ばない

 創業100年余のシャープをさらった鴻海は40年ほど前、白黒テレビの部品を作る10人の町工場から始まり、今や売上高15兆円、従業員100万人。絶頂期は春の夜の夢のようにはかないと「平家物語」は言うけれど、追いつくには骨が折れそうだ。