鉄に秘薬をかけて金を生み出せれば、誰もが億万長者になれる。古代からの錬金術師たちの夢は21世紀になってもかなわない。枯れ木に花を咲かせることさえ無理だ。なのに、なぜ、労せずしてお金を生み出すことはできると考えるのだろう

資本主義者も共産主義者も国王も、等しくのみ込む愚かな錬金術が耳目を集める。英領のバージン諸島、ケイマン諸島など税金がゼロか極端に安いタックスヘイブン(租税回避地)

そこに、法人や銀行口座をつくって、税金を逃れる手口だ。巨大企業や富裕層が利用し、テロ資金や犯罪収益の隠し場所やマネーロンダリング(資金洗浄)の装置にもなっている

政治家が個人的に関与すれば、国民の非難を浴びるのは当然だ。だが、租税回避地で法人設立を代行するパナマの法律事務所から秘密ファイル「パナマ文書」が流出した。さながら、パンドラの箱のようにあふれ出た秘密が、大物政治家の足元も揺さぶる

ロシアのプーチン大統領の友人らは主にキプロスのロシア商業銀行から融資を引き出し、バージン諸島に設立した複数の企業を経由して関係企業に移した

中国では習近平国家主席の義兄のほか、常務委員の親族の利用も判明した。「トラもハエもたたく」は習指導部の反腐敗運動の掛け声。批判の声を黙殺せず、しっかり説明すべきだ。