起こるべくして起こる、ということがある。運動員に金を配るのが違法だとは知らなかったらしい。2014年2月の東京都知事選候補者。「1年後に指摘を受け、『あっ、そうか』と初めて気が付いた」

 公選法違反の疑いで、元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄容疑者が逮捕された。都知事選後、運動員5人に報酬計280万円を払ったとされる。共に逮捕された元選対本部事務局長にも200万円が渡っていたようだ

 「知らなかった」を真に受けていいのかどうか。航空自衛隊の元トップなのである。もし本当なら、その程度の常識もなくてよくぞ選挙に、と世間は見る

 同年の政治資金収支報告に5541万円の使途不明金を計上し、流用したのでは、とも疑われている。核武装を訴える過激な発言の割に、「閣下」も脇が甘い。逮捕直前、「権力にはかなわない」と見えを切ったが、そんな次元の話でもあるまい。恨むべきは自分の無知だろう

 隣国では総選挙で与党が惨敗した。こちらも起こるべくして、の一つか。自身や側近の「傲慢(ごうまん)さ」「無能さ」が審判を受けたと朴槿恵(パク・クネ)大統領は酷評されている

 求心力を失った政権の常、「反日」を振りかざし、改善の兆しが見えた日韓関係を壊しはしないか。起きたことには謙虚に向き合うのが最善とは思うが、閣下も大統領も苦手かもしれない。