人を飽きさせないおしゃべりでリスナーの心をつかんだ秋山ちえ子さん。話し上手で聞き上手だったのかもしれない

 かつて婦人雑誌で身の上相談の企画があったという。秋山さんは作家と共に、相談者の話に耳を傾けたが、2人とも聞き入ってしまい<結局、答は出せず記事にもならずに終った>(文藝春秋新人生読本 二〇〇八季刊冬号)

 「しゃべるエッセイスト」と呼ばれ、四国放送ラジオでも放送された「秋山ちえ子の談話室」は2002年に終わるまで45年間、放送回数1万2512回を数えた。トークの持ち時間は6分余。1分間に話す量は自身換算で400字詰め原稿用紙1枚分ぐらいだった

 毎回6枚分のマス目を埋めるように、知人の話、見た風景、固有名詞と何でも書き留めた。身の上話にも聞き入ったはずだ

 「平和の種まき」にも手を抜かなかった。毎年8月15日には戦争中に餓死させられたゾウを描いた童話「かわいそうなぞう」(土家由岐雄作)の朗読を続けた

 76歳に徳島市で行った講演、85歳で「談話室」を終えた心境、米寿を迎えての話と本紙に折々の声が残る。<取り残される人がいないような社会にしなければならない。もめ事を戦争で解決しちゃ駄目。それを言い続けたい>(05年10月19日付)。旅立った99歳まで、この思いは変わらなかっただろう。