燃費試験の不正が発覚したのは、新型車を共同開発する日産自動車からの問い合わせがきっかけだったという。それが昨年の11月。今年2月に合同調査が始まり、3月には改ざんが判明、三菱自動車社長の耳に入ったのはようやく今月13日になってだ

 社長の説明通り、意図的な不正なら、当該部署に確認すれば、すぐにはっきりしたはずである。少なくとも、やった、やらないぐらいは

 なのに発表まで、これほど時間がかかったのはどうしてか。一方で、問題の軽自動車4車種は、社長が報告を受けてからもなお、販売されていたのである。虚偽の数字を信じて購入した人が大勢いる。対応の鈍さに驚く

 自動車評論家の三本和彦さんの分析に、合点がいった。「三菱自では現場の人間が上役の顔色をうかがう傾向が強く、過去の不正の一因にもなってきた」。大切にすべきは顧客よりも上司、という社風なのかもしれない

 車は命を運ぶ乗り物である。三菱自には、欠陥隠しで死亡事故を招き、経営危機に陥った過去がある。その教訓を忘れずにいたなら、いかに燃費競争が激しくとも、不正などできるはずがないだろう。たとえ、国の検査が甘かったとしてもだ

 顧客あってこその会社である。一体、どちらを向いて仕事をしているのか。車市場から退場を。そんな声も上がりかねない。