久しぶりに、こんな青くさいせりふを聞いた。「ボランティアなんて偽善だ」。青年海外協力隊を描いた映画「クロスロード」で、主人公が吐き捨てるように言う

 仕事に行き詰まりを感じ、協力隊に参加した沢田。任地となったフィリピンの現状を知り、無力感にさいなまれつつ、人間として成長していく。ありがちといえば、ありがちな筋書きだが、それでは終わらない

 鉱毒で黄色く染まった川の流れる貧困地区。そこに暮らす子と心を通わせるものの、別れの日、その子は沢田の愛用のカメラを盗んだ。謝りに来た姉が感情をほとばしらせる。「今日、食べていくことで精いっぱいなのよ。夢を持て? そんな余裕はないの」

 想像し得ないほどの貧困と格差、困難がある。隊員は、そんな現場で悪戦苦闘している。映画を製作したのは協力隊経験者。描写は極めてリアルだ

 協力隊発足から半世紀が過ぎた。これまでに約4万人が89カ国に派遣された。県内からは1968年のインドを手始めに261人。69歳までのシニア海外ボランティアにも25人が参加している

 現在、14カ国で県人隊員16人が活動中だそうだ。迷うぐらいなら飛び込んでみては。現場でしか分からないことがある。偽善でも何でも、まだ見ぬ場所に必要としてくれる人がいる。日本で世界で、そろそろ出番である。