笑顔で語り掛ける瀬戸内寂聴さん=京都市のホテル

 徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(96)=京都市=による平成最後の講演会が14日、京都市のホテルであり、イオンシネマ徳島(徳島市)など全国33カ所の映画館に生中継された。瀬戸内さんは聴衆約3千人に愛することの大切さを訴えた。

 京都の会場で約360人から拍手で迎えられた瀬戸内さんは、生中継に「こういうのは初めてで最後。珍しく興奮している」と口を開いた。「これだけは言おうと心に決めてきた」というテーマは、愛。「生きるのは誰かを愛するため。愛は苦しみを伴うが、苦しみの中から深い愛が返ってくる」と語り掛けた。

 質疑応答では、沖縄県の映画館からの「生まれ変わったら何になりたいか」との質問に「やっぱり小説家。できたら女の小説家。男より女の一生の方が複雑でずっと面白いから」と答えた。

 イオンシネマ徳島では、用意した75席が完売。大型スクリーンに映し出された瀬戸内さんが親交のあるタレント美輪明宏さんとの逸話をちゃめっ気たっぷりに話すと、笑いが起こった。質問者の相談に応える場面ではすすり泣く人もいた。

 10年来のファンという阿南市日開野町筒路の作業療法士森口智恵美さん(43)は「前向きに頑張ってきた寂聴さんの言葉は共感できる。飾らない姿がすてき」と話した。

 大手芸能事務所「アミューズ」(東京)が多くの人に講演を聴く機会を提供しようと初めて企画した。