古くは金刀比羅宮へ続く道として人々の往来が多く、宿屋もあったという。美馬市美馬町と香川県まんのう町の境にある三頭峠。国道438号の三頭トンネルが開通してからは峠越えと分からないまま車が通り過ぎていく

 開通した1997年3月30日の様子を思い出す。それから20年へと歩みを進めていたおととい、事故は起きた。牧田久美馬市長が運転していたワゴン車が、対向してきた軽乗用車と正面衝突した。軽乗用車に乗っていた4人のうち2人が亡くなり、市長ら4人が重傷を負った。痛ましい限りだ

 三頭越えして高松へ、わが家へと、市長にとっては行き慣れた道だったに違いない。トンネル開通以来、毎年秋になると、自動車事故を想定した防災訓練が行われていたことも熟知していたはずだが…

 「なぜ」「どうして」事故は起きたのか。一瞬の隙を突いて、その身に襲いかかってくるものなのか。悔やんでも悔やみきれない

 思えば、事故はいつどこで起きるか分からない。3日に神戸市のJR三ノ宮駅北側で乗用車が暴走、同じ日に山口県下松市の山陽自動車道下り線で多重事故が起きた。人命が奪われた

 古くからの道々で、お地蔵さんを見掛ける。道中の往来、無事をずっと見守ってきた。突然、未来を絶たれる人が出ないように。安全に、と願わずにはいられない。