「決死擁護」。こんな極端な表現は、おべんちゃらに違いあるまい、と私たちの国では考える。北朝鮮ではそうではないようである。歴代の文案起草者が保身に保身を重ね、大層な言葉遣いが習い性になったのかもしれない

 36年ぶりの朝鮮労働党大会が終わった。すべての事業を、肩書も新たにした金正恩(キムジョンウン)党委員長の「唯一的指導の下に実行」するという。「唯一的指導」って…。「独裁」の、北朝鮮流の言い回しなのだろう

 大会で採択された決定書をなぞってみると、国の現状が透けて見える。「東方の核大国」「2020年までに食糧問題を解決」。一体まともな国で並び立つ項目か

 国際社会からは決して認められることのない核・ミサイル開発の前に、国民を食べさせるのが先だ、拉致問題も解決しなければ、と当たり前の指導者なら考えよう。無理を通そうとするから「偶像化」も必要になってくる

 それも、取りあえずは成功とはいえまい。いつものアングルに、いつもの拍手。まるで代わり映えのしない映像の中で唯一、唯一的指導者のたどたどしさが際立つようでは

 祖父・金日成(キムイルソン)主席時代の前回党大会には、118カ国の首脳が参加した。今回、その姿はない。世界から孤立している、と忠言する部下が、もしいたとしても、巧言令色にまみれた3代目の耳には届かぬか。