19458689。べた書きすれば一見何でもなさそうな数字の羅列に、区切りを入れてみる。すると、その意味がくっきり浮かび上がる。1945・8・6、8・9。ヒロシマ、ナガサキ

 「戦争終結を早めた。原爆投下は正しい決断だった」。昨年の調査では、米国人の56%がそう考えている。核兵器の非人道性は、被爆国でなくても想像がつくだろうに、米世論はいまだに二分されている。70年もの歳月が流れて、なおかつ政治的に微妙な問題なのである

 オバマ米大統領の広島訪問が正式に発表された。平和記念公園を訪れて「思い」を言葉にするという。その決断を歓迎する。どうか、ありのままを見てもらいたい。感じてもらいたい

 原爆がどれほど人を苦しめたか、被爆者に直接会って耳を傾けていただきたい。そして伝えてもらいたい。きのこ雲の下で何が起きたか。1945年8月6日、人類は、どんなページを開いたのか

 「核兵器なき世界」を打ち出したのは就任した年。退任の年、現職の米大統領として初めて訪れる広島。謝罪はなくとも、その行動自体が大統領のメッセージともなろう

 遅々として進まない核廃絶、国際世論を後押しする訪問になれば。被爆者は願う。「生きているうちに、核のない世界が実現すればうれしい」。2016・5・27。意味ある数字に。