石垣が崩れ落ちている。天守は傾き、長塀は倒れ、東十八間櫓(ひがしじゅうはちけんやぐら)などの重要文化財も全壊した。本震から1カ月の熊本城。石垣の破損は53カ所にも上るという。一つ一つ組み直すには、どれだけ時間がかかるだろうか

 干上がっていた「水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)」の池には、随分と水が戻ってきていた。通称、水前寺公園。城から、さほど遠くない、優美な回遊式庭園で知られる観光名所である

 きのう、1カ月ぶりに開園した。倒壊したままの住宅、路面のうねった高速道路…と、被災直後と変わらない光景の続く中で、少しずつ歩みは前へ進んでいる

 大きな被害の出た阿蘇地方は、観光業で生計を立てている人が多い。被災状況には濃淡があり、ほとんど影響のない地域もあるが、観光客はおしなべて激減している。関連施設は厳しい経営を強いられており、このままでは、つぶれる店が出るともいわれる

 「観光客が戻らなければ、従業員の解雇も考えざるを得ない」。南阿蘇村に隣接する高森町で、レストランや乗馬クラブを営む竹原秀喜さんは心配する。阿蘇は夏秋が書き入れ時。「通行止めなど幾分の不便はあっても、元気に営業している施設は少なくない。ぜひ熊本に来てください」

 観光も立派な復興支援である。ボランティアを兼ねて、というのも歓迎されよう。夏の計画にいかがだろう。