一読して長崎へ思いが飛ぶ。長崎で1681年からカステラ店を営む松翁軒が発行している冊子「よむカステラ」が今年も届いた。長崎三大女傑の足跡が紹介されていて興味深い
その一人で、初の日本茶貿易商となった大浦慶との縁について、作家井上ひさしさんの三女麻矢さんが触れている。ひさしさんは大浦に関心があり、こう言っていた。史実と史実の隙間を埋めていく作業は大変だが<隙間の多い人ほど面白い>。埋めていくのは想像力だ
広島原爆の悲劇を描いた「父と暮せば」を書いたひさしさん。生前、「長崎を舞台に、対になる物語を書きたい」と話していたと麻矢さんから聞き、山田洋次監督が母と子の物語を思い付く。それが昨年公開の映画「母と暮せば」になった
主演の吉永小百合さんは昨年、長崎の平和祈念式典に参加し、ランタン「平和の灯」に、こう記していた。「戦後がいつまでもいつまでも続いてほしい核兵器をなくして!」と
広島、長崎に原爆が投下されてから71年の夏が巡ってくる。それを前に、オバマ米大統領が27日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて、広島を訪れる。世界が、そのメッセージに耳を澄ます日となる
広島と長崎の被爆者の核廃絶への思いは一つだ。戦後という言葉がずっと続いてほしいと願う気持ちも一つである。