腹が立ったら10数えよ。とても腹が立ったら100数えよ。そうは言うものの、いくら数えても収まるはずのない怒りがある

 殺された沖縄の女性会社員は20歳。人生これからというときである。死体遺棄容疑で逮捕された軍属の男は32歳。一昨年まで米海兵隊に在籍していた

 こう供述したそうだ。「頭を棒で殴り、乱暴し、刃物で刺して殺害した」。行方が分からなくなり3週間。女性が変わり果てた姿で見つかったのは、海兵隊基地「キャンプハンセン」の近く

 米兵の犯罪発生率は、沖縄県民よりも低いと言い立てる人がいる。統計には、兵士が大部分の時間を過ごす基地内の数字が含まれていない、といったからくりもあるが、仮に高くなかったとしてもそれほど意味があるとは思えない。事は数学の問題ではないだろう

 米軍基地がなければ女性は命を奪われずに済んだ。その事実は重い。戦争が終わり、銃剣とブルドーザーでできた基地。以来、沖縄の人たちが繰り返し味わってきた悲劇である。公務中なら、日本側が容疑者に手出しできない日米地位協定もある。「日本の独立は神話だ」と、知事が憤るのも無理はない

 過重な基地負担。さらに辺野古を、と政府は言う。基地のない島。願いがかなう日はいつか。沖縄の人たちは、いつまで指折り数えなければならないのだろう。