怒らせるのは簡単だ。しかし、笑わせるとなると、これは至難の業である。失笑を買うのはたやすいが、できれば避けて通りたい。上質の笑いを提供したい、と考えはしても、なかなかどうして思い通りに書けるものではない

 「笑い」を商売にしている人は、よほど大変だろうと想像する。笑わせるのが不得手でも、記者なら何とか店は開ける。第一、新聞コラムを読んで、腹を抱えて笑ってやろうという人もいないから、その点は助かる。芸人ならば、こうはいかない

 演芸番組「笑点」(四国テレビ、日曜夕)が、放送開始から50年を迎えた。移り変わりの激しい時代を泳ぎ抜き、人気を保ち続けているのはすごい

 先日、司会を勇退した落語家桂歌丸さんがその秘密を語った。「家族全員でテレビの前で笑える、子どもの耳をふさがなくてもいい番組にしようと皆が心得ていたからですよ」

 「座布団やって」の大喜利は今も目玉だ。噺(はなし)を心得た人たちでつくる笑いは、昨今の刺激的な笑いと違って、さながら、じわりと効く漢方薬である。つぼをくすぐる優しさが心地いい

 人を笑顔にする。そこまで広げれば当てはまらない仕事はないだろう。子どもの耳をふさぎたくなる。そんなことばかりが目立つ世の中で、今日の仕事に座布団1枚。ほめ、ほめられる日を重ねていければいい。