首相の「相」。この漢字の部首はと問われれば-。木偏なら、当たり前すぎて問題にならない。逆こそ正解のはず。多くの人がこう推理して「目」と答えるのではないか。ご賢察の通りである。部首は「目」。「相」には「よく見る」という意味がある

 安倍晋三首相が、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを、2019年10月に再延期すると正式に表明した。会見を聞きながら考えた。首相の目には今、どんな明日が映っているのだろう

 「リーマン・ショック級や大震災級の事態は起きていない。再延期はこれまでの約束とは異なる新しい判断だ」。公約違反を率直に認めた。不透明な世界経済をにらみつつ、アベノミクスをさらに加速させる。そのための再延期だ、と首相は言う

 赤字国債に頼らず、子育てや介護環境の充実といった社会保障施策を進め、リニア新幹線の整備も前倒しする。結構なことである。しかし、その財源は-。「アベノミクスの果実も使います」

 極めて明るい明日が見えているようだが、別の未来も想像してしまう。多くが、行き詰まりも指摘されるアベノミクス頼みとあれば、今度の約束も空手形にならないか、財政再建も遠のくのではないか、と

 参院選で信を問う。きっと憲法改正も視界に入っているだろう。安倍政治、総点検の夏である。