大和君、本当によかったね。頭をなで、背中をさすりたいと思った人も多かっただろう。この6日間、天に祈り、北海道七飯町の空模様を気にしていた人たちがどれほどいたことか。田野岡大和君とその家族の背には、見えない人垣ができていた

 行方が分からなくなった林道から約5キロの陸上自衛隊駒ケ岳演習場内で、7歳の大和君は、名前が呼ばれるのをひたすら待った。水で空腹をしのいで、お父さん、お母さんを思い続けていたに違いない。森を抜ける風も、星も、友にはなれなかったはずだ

 6日前、家族4人で訪れた公園で、人や車に石を投げ付けたことを後悔していたかもしれない。お父さんもお母さんも苦しみ、泣いていた。わが子の手を離してしまったのを悔やんだ

 見えない人垣の一人だった筆者にも、苦い思い出がある。県南の支局にいたころ、近くの神社の祭りに行くと、5歳の長男が見物していた。「お祭りが終わったら一緒に帰ろう」と言われていたのに、忘れてしまった。幸い、長男は友人の母親に付き添われて帰ったが、長男は置き去りにされたと思って泣いたという

 祖母、母、叔母と「母」の付く人から「子を持つ親になったら」と、おきてのように言われた言葉がよみがえる

 子は天からの授かりもの。子の手は離すな、しかるときは手を強く握れ、と。