病気の子どもと
家族をサポートするのが
病児・病後児保育です。

田山チャイルドクリニック院長
徳島県小児科医会会長
全国病児保育協議会徳島県支部長
「子どもが急に発熱したけど仕事を休めない」「子どもの体調が悪いのに冠婚葬祭の予定がある」。
前触れもなくやってくる子どもの病気は、核家族で共稼ぎの親にとって深刻な問題です。
保育所で預かってもらうこともできず、家で見てくれる家族がいない。
そんな最大のピンチをサポートしてくれる制度が「病児・病後児保育」です。
万一の時に慌てないためにも「病児・病後児保育」を行っている医療機関の存在や、そのシステム等を、全国病児保育会 徳島県支部長・田山正伸先生にうかがいました。
正しい生活習慣で病気を予防
毎年、1~2月はインフルエンザがピークを迎えま す。集団保育や人混みに出ることで風邪やインフル エンザに感染することは仕方のないことですが、日頃 から予防できることは積極的に行うように心がけてく ださい。
まず医療機関で予防接種を受けること。家庭では 手洗いと、うがいをこまめにすることはもちろんです が、充分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動す ることが大切です。これは子どもにも大人にも言える ことですが、日頃から規則正しい生活習慣を身につけ ている人は、病気になっても回復が早く、反対に不規 則な生活を送っている人は回復が遅い上に免疫力が 低下して病気にかかりやすい体質になるので気をつ けてください。
また、子どもの病歴や性格、ある程度の家庭環境を 把握している「かかりつけ医」がいれば、いざというと きに慌てることなく、利便性を考慮して「病児・病後保 育」を行っている医療機関を紹介することもできます ので、より安心です。
日頃からシステムを知っているといざという時に安心
「病児・病後児保育」とは、おおむね10歳未満の子どもが対象で、子どもが病気になった時、また病気が回復に向かっていてもまだ集団保育が受けられない状態の時に、仕事や所用で看病のできない親に代わって子どもの世話をするシステムです。
「病児・病後児保育」を行う施設は病院に併設されていることから兼任医師と看護師、専任の保育士が常駐しているので安心です。
また、子どもがよくかかる感染症疾患やインフルエンザ・けがなど病気や症状に合わせた部屋を用意している施設もあります。予約すれば昼食(有料)も提供しています。
ただし、実施施設によってインフルエンザや感染症の種類、その他の要因によって受け入れができない場合もあるので、事前に実施施設や市町村の担当窓口、かかりつけ医などに問い合わせをしてください。
そして案内チラシがあれば、必ず持ち帰っていざという時に慌てないよう目を通しておいてください。
また、小児科医・内科医・行政窓口とも連携を取って迅速に対応できますので、その時の定員状況などを考慮しながら、利便性の高い医療機関を紹介することも可能です。
親から親への口コミが大切
徳島県内の「病児・病後児保育」の現状としては、実施している医療機関が地域によってバラツキがあるのが現状です。今後の課題としては子育て中の親の負担を軽減するために医療機関の広域化を図ること、「病児・病後児保育」に従事する関係者と問題点を話し合いながらスキルアップを目指すこと、関係機関との連携を深めることなどが挙げられます。
また私たちの情報提供と合わせ、親同士の口コミや利用者のアドバイスなど、これから出産する人や子育てを始めたばかりの人にも周知してもらえるようになれば良いと考えています。
いずれにしても核家族や共稼ぎで子育てをする人が増えつつある現代社会において、ますます需要が増えることが予想される「病児・病後児保育」をもっと多くの人に知ってもらうことが、子育てしやすい社会づくりの一貫だと考えています。
ぜひ、あなたの周りで子育てしている方に「病児・病後児保育」の存在と利用方法を教えてあげてください。
病児・病後児保育を利用するには
(対象:おおむね10歳未満)
利用手順
空き状況の確認・予約
前日または当日、電話などで実施施設に問い合わせをしてください。
利用前診察
前日または当日、かかつけ医または実 施施設で受診し、利用申請書※に医師の「保育可能確認」を記入してもらってください。
サービスの利用
当日、実施施設へ利用申請書を提出し、サービスを受けてください。
利用料金の支払い
当日、サービス終了後、お子さんを迎えにきた時にお支払いください。
利用期間
集団保育が困難で、保護者の勤務の都合、傷病、事故、出産、冠婚葬祭などの理由でやむを得ず家庭で保育ができない期間。
利用料金
日額1,800円~2,000円居住する市町村によって利用料が違います。詳しくは市町村担当窓口にお問い合わせください。利用料金には診察料が含まれていませんので別途必要になります。
準備物
●昼食(施設でも用意できます。有料)
●着替え一式・バスタオル・ほ乳瓶など
●薬(かかりつけ医で処方されたもの)
●健康保険証・印鑑 など
※利用申請書
サービスを受けるために必要な申請書です。実施施設・市町村窓口(ホームページより印刷可能)・保育所・幼稚園などに備えています。
注)診断された病気の種類によっては受け入れができない実施施設もあります。