リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)。米国民が胸に刻み続ける言葉である。旧日本軍による真珠湾攻撃から75年近くが過ぎた今も。油断するなとの思いは、日本人への不信感と表裏一体だ

 沈没した米戦艦アリゾナは多くの兵士と共に真珠湾に眠る。戦艦の真上にあるアリゾナ記念館を、当時の河野洋平衆院議長が訪れて献花したのは2008年12月。その年9月にペロシ米下院議長が、広島市の平和記念公園の原爆慰霊碑に献花したことに対する返礼だった

 元共同通信記者でジャーナリストの松尾文夫さんは「オバマ大統領がヒロシマに献花する日」(小学館)で、日米などの相互の鎮魂と和解の儀式の大切さを説いている

 <アメリカ大統領の「広島の花束」に対応して、首相が「真珠湾の花束」でこたえねばならない>。松尾さんの提案だ

 広島、長崎への原爆投下から70年余り。オバマ米大統領の広島訪問は、核廃絶と平和を願う被爆者らの心を打った。今度は日本の首相の番だ。ホワイトハウスは安倍晋三首相の真珠湾訪問を歓迎する立場のようだ

 近年、日米首脳は親密さを誇示するように双方の山荘などを訪れ、ファーストネームで呼び合う。それでも、心のどこかにわだかまりがないと言えるだろうか。日米が戦端を開いた真珠湾で献花し、未来へ踏み出したい。