青森県の県紙・東奥日報が報じていた。下北半島、むつ市のボランティア団体「りんどうの会」が、自前の「かるた」を使って介護予防活動に取り組んでいる。公募作品を厳選した、その読み札が面白い

 <恐山向って叫ぶ「まぁだだよ」>。恐山は高野山、比叡山と並ぶ三大霊場の一つ。からからと回る無数の赤い風車(かざぐるま)、硫黄のにおい…。賽(さい)の河原を思わせる荒涼とした景色が広がる

 人は亡くなれば「お山」に行く、との言い伝えが地元にはあるそうだ。会事務局長の菊池三十義(さとよし)さんが教えてくれた。「まぁだだよ」とは無論、まだまだ元気でいるよ、との意味

 菊池さんは言う。「介護予防の意識が一番低いのは誰と思います? 当のお年寄りなんですよ」。自身も72歳。関心を持ってもらうきっかけにと作ったのが「介護予防かるた」だ。笑って勉強になると好評で、来年1月には市の大会を催す

 <シワだらけ心はおとめ今だって>と高齢者の心境を詠んだ札、「はいっ」と手を伸ばすのもためらわれる札も。<「来世も一緒よ」と言う妻鬼に見え>。深い愛あるが故の憎まれ口と解釈しておこう

 <やれる事自分でやり抜く意欲が大事>。はるか本州の北端のお年寄りも頑張っている。笑って暮らす豊かな老後。こちらも負けていられない。<寝たきりになるまいさせまいまず運動>。