「たかが一票で、何が変わるものか」。こんな話を耳にしたなら、18歳の君はこう返してやろう。「いつまで、そんな子どもっぽいことを口にするのですか」。きのう参院選が公示された

第2次大戦で英国を勝利に導いた政治家チャーチルは言っている。「民主主義は最悪の政治形態だ。ただし、これまでに試みられた他のすべての政治形態を別にすれば」

問題があったとしても、これまでのどんな政治よりましである。遠く過去を振り返らなくとも、一党独裁に世襲、近隣諸国を眺めてみればはっきりとする

民主主義。その土台を支えるのが選挙だ。国民的な人気を誇ったチャーチルも、それほど得手とはしておらず、自身も何度か落選の憂き目に遭っている。ナチスドイツを倒した直後の総選挙でも敗北した

民主主義国と呼ばれる国々では、「たかが一票」が集まって、歴史を築いてきた。戦後日本の高度経済成長も、バブルもその崩壊も、元をたどれば一票が選んだ歴史といっていい

さて、18歳選挙権と合区、初物が二つそろった今回の参院選、われらが選挙区である。「誰に入れたら」と、悩みもあろう。候補者には失礼だけど、迷った揚げ句、「よりまし」に一票という手もある。18歳の君たちに、大きな声では言えないが、歴史の何割かは案外と、そうやってできている。