じゃんけんぽんで、グーを出しても、チョキを出しても、後出しをすれば、誰でも勝てる。もちろん、パーでもだ。子どもの遊びならそれでもいい

 でも、東京都知事選が後出しじゃんけんでは困る。自民党の小池百合子元防衛相が都知事選出馬を表明した。「崖から飛び降りるつもりで挑戦したい」。都政の信頼回復に向けたその決意やよし、と言いたいが、なぜ、この時期にと思ってしまう。他の候補の機先を制する狙いもあるのか

 「国会議員以外」を擁立する方向の自民党都連は困惑気味だ。閣僚から官僚まで有力候補の名前が浮上しては消える。政界は一寸先が闇。どんなどんでん返しがあるか分からない

 それにしても、「勝てる候補」が最優先の、政策そっちのけの人選では1360万都民が泣く。「知名度を武器に後出しすれば勝ち」。戦略に、さもしさがつきまとう

 やせ細る地方を尻目に、一人勝ちの東京に群がる政治家らのおごりも見る。虎視眈々(こしたんたん)と出馬表明のタイミングを見計らう、じゃんけん巧者もいよう。手練手管に惑わされてはならない

 二代続けて、泥にまみれた都知事のいす。「なりたい人」よりも「させたい人」を選びたい。<衆人は多くして聖人は寡(すく)なし>と中国の古典にもある。世に平凡な人は多いが、徳のある人は少ない。さて、都民の眼力はいかに。