芝居の続きが見たい。有権者はそう判断したといえるのだろう。「この道しかない」安倍劇場。参院選で与党が大勝した

 結果におごらず。人の振る舞いの中で、最も難しいものの一つだ。1強の地歩をさらに固めた安倍晋三首相には、より慎重な政権運営が求められる。それを忘れていては、悲願もかなうまい

 役者を厳選しますから、と臨んだ初の野党共闘も、効果は限定的だったようである。しかし、なければもっと差が開いていた可能性もある。「この道」に取って代わる魅力的な脚本を、野党は提示できなかった。選挙結果は、その素直な表れではないか。安倍政治と対抗する戦略の練り直しが必要だ

 初の合区選挙となった本県と高知県。投票行動にも差が出た。各候補の選挙戦術の影響もさることながら、両県の歴史や文化の違いを反映していよう。合区代表となった自民党中西祐介さんには、数合わせにすぎない「野合」選挙区の解消に、全力を注いでもらいたい

 こちらも初めて。18、19歳の皆さん、選挙はどうだった? 投じた一票、結果のいかんにかかわらず、日本の政治を形作る一票となったのは間違いない

 大事なのは、舞台役者が決まったこれからだ。一票を投じておしまいでは職業政治家が喜ぶばかり。政治の行方を見守り続けること、声を上げ続けることである。